株式会社山田エスクロー信託
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葬儀生前予約信託
   
  山田エスクロー信託の信託手法を活用した「前払金信託による商品売買」をご案内申し上げます。
   
 
1. 信託契約の背景
 
死後事務委任契約を受任する事業者(「以下、「受任者」という。)とお客様が死後事務委任契約を締結します。その内容は、「私(お客様)は自分の葬式の生前予約を葬儀会社○○としておいたので、その葬儀代金をあなた(受任者)に預けます。その時が来たら私の代わりに葬儀が契約どおり執り行われているかチェックして下さい。内容どおり執り行われていれば、葬儀会社に支払ってください。」と、いうものです。
最近、生前に自分の葬儀スタイルをご自身で決めたいというお客様のニーズが増えてきており、葬儀会社も お客様の囲い込みを意図して葬儀の生前契約が行われているようです。
一方、長期に渡る期限の定まらない契約は、葬儀会社の倒産リスク・使い込みが懸念され、お客様は葬儀会 社に予約代金を預けないで、身近で死後事務委任契約を受けてくれる受任者に、お金を預ける方が増える傾向にあります。また、葬儀会社も預かり金の管理の煩わしさの問題もあり、受任者での資金管理に違和感がないようです。
他方、死後事務委任契約と伴にお金を預かる受任者は、期限の定まらない預かり金を預かることになります ので その預かり金を自らの資産と分別管理すべく弊社(信託会社)に信託します。
   
2. 信託契約の概要・目的
  受任者を委託者兼受益者、受任者のお客様を受任者破綻時の受益者とする信託契約です。
受任者がお客様から預かる葬儀代金予定金等の金銭を信託することにより、当該金銭を受任者の固有資産から分別して管理し、また、受任者が万が一破綻した場合に、受任者は受益者の地位を失い、お客様がその受益権を承継することを信託契約の目的としています。
 
信託された金銭は、あらかじめ死後事務委任契約・信託契約で定められた規約に則り、受任者の指図によって支払われます。
  予定どおり葬儀が執り行われた場合は、葬儀業者へ葬儀代金を支払います。
  葬儀が執り行われなかった場合は、予め指定されているお客様の承継者へ預かり金を返還します。
信託期間中に万が一受任者が破綻した場合は、お客様が受益権を承継することになります。
   
3. スキーム図
  スキーム図
  ※死後事務委任契約
本人死亡後の事務の委任契約は本人死亡後もなお有効か?(民法第653条 委任者の死亡により委任は終了する)と疑問がありますが、最判平成4.9.22 によると、委任者が自己の死亡後の葬式費用等の支払を依頼する委任契約は、委任者の死亡により終了させない特約を含むものとして有効とされており、その委任は有効と考えられています。
   
4. 死後事務委任契約のリスクと信託の補完
 

死後事務委任契約は、期間が長期に渡る可能性があり、受任者が預かり金を流用したり、受任者の財産と混在 してしまうリスクが生じます。また、今は健全な財務内容の受任者でも、将来に渡っていつまでも健全とは言い切れず、受任者の債権者から預かり金への強制執行のリスクは排除できず、委任者の死後に受任者が約束を違えるリスクが払拭できません。
また、委任者が適正に「死亡後の事務」が果たされたかどうかチェックする者をもたない限り、委任者の資産を受任者が適性に管理する仕組が不整備のままです。

信託会社への信託であれば、信託契約及び信託業法上、善管注意義務・忠実義務・分別管理義務・書類設置義務等の義務を負っており、優れた管理を期待できること、また受託者が倒産したときも信託財産は受託者の財産から隔離されていますので、長期に渡る財産の保管としては適していると考えられます。また、受任者の死後事務委任契約の履行状況をチェックする機能を持ち合わせていますので、受任者は預かり金を信託会社に信託する ことで、受任者一人で管理するリスクを補完することが可能となります。

「自分の葬式は自分で決める、葬儀代金も予め自分で負担する、子供達の世話にはならない」という考え方が、世の中に着実に増加している中、本信託スキームの相談となりました。

本信託スキームの考え方は、財産管理人、任意後見契約で依頼者の資産を預かる任意後見人、法定後見人にも利用可能なスキームと考えております。弊社では、別途「任意後見人預かり金信託スキーム」を検討しておりますので、ご興味のある方は、ご照会ください。

ちなみに、最近の最高裁の判決として以下がありますので、ご紹介しておきます。
最高裁は、未成年後見人は家庭裁判所から選任される公的性格を有するものであるから刑法244条1項(親族相盗例)の適用はないとした(最決平成20年2月18日)。
刑法には「親族であれば親族との間での窃盗罪は、その刑を免除する」(刑法244条(親族間の犯罪に関する特例))という規定があり、横領罪等に準用されています。ところが、上記最高裁判例は、親族である後見人が、後見人の立場で親族の財産を勝手に使えば、特例は適用されず、横領罪にあたるとしたのです。
上記のようなリスクを排除するために、後見人には自らの財産と預かり財産を分別管理する信託スキームが今後有用ではないかと弊社では考えております。